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第4回 -記 2015/04/11

『その魚をそこで釣ってあなたは幸せですか?』

今回の不定期コラム"I's eye"は前回、前々回と比べ、多くの方にとって現実的な内容になるかと思います。

「最近釣りが楽しくないなぁ~…」
「思うようにいかないなぁ~…」
「やっててちょっと疲れちゃうなぁ~…」

とお感じになられている方にこそお読み頂けますと幸いです。
なお、非常に長文となりますので、あらかじめ御了承頂きますよう宜しくお願い致します。


突然ですが、あなたがルアーフィッシングを始めるきっかけとなった魚は何ですか!?

バスですか?トラウト?それともシーバスですか?ロックフィッシュ?エギング?ジギング?ライギョ?オフショアキャスティング?
ぱっと思い付いただけでもこれだけのターゲットが出てきますので、ルアーフィッシングのターゲットは多種多様ですね。

日本と言う国は国土が狭く外国に比べ資源が少ない反面、その優れた漁業技術によって多くの魚を水産資源として利用してきたことは今更言うまでもなく、釣りの経験の有無に関わらず日本人の誰もが疑うことのない事実です。
そして釣りそのものも一部の特殊な釣種を除き、釣ったものは食すという文化が一般的でした。現在でもエサ釣り、特に海釣りは釣ったものは食すのが一般的ですね。

釣った魚を食べることが第一の目的であったかつての日本の釣り文化の中に、食べることよりも釣りそのものを楽しむことを第一の目的としたゲームフィッシングが、戦後海外より入ってきたことによって 日本の釣り文化にルアーフィッシングやフライフィッシングという釣種が急速に浸透していきました。

それに伴い、食味に優れた魚だけでなく今まで注目されなった種類の魚でも、釣り人が釣って楽しいと感じる魚種であれば、釣りの対象魚として脚光を浴びることとなりました。

当初はゲームフィッシング先進国であった外国のマネから始まったゲームフィッシングの文化でしたが、次第に日本独自の発展を遂げると同時に、外来種・在来種に関係なく多くの魚たちがゲームフィッシングの対象魚として 受け入れられていったのです。
私がルアーフィッシングを始めた30年以上前には、ゲームフィッシングのターゲットとして一般アングラーに広く認識されていなかった魚たちが、今では大人気ターゲットになっているケースもあります。

ちょっと大袈裟な言い方かもしれませんが、今や日本は非常に多くのルアーフィッシングのターゲットを有し、それを釣る為の最先端のタックルが開発され続けられる「ゲームフッシング大国」になったと言えるのではないでしょうか。


そんな多くの選択肢がある現在のルアーフィッシングですが…。


ここで冒頭の問いに戻ります。
「あなたが本格的にルアーフィッシングを始めるきっかけになった魚はどんな魚だったでしょうか?」

昔は「釣りは鮒に始まり鮒に終わる。」とよく言われたものです。このコラムを読んで下さっておられる方で、ここ20年以内に本格的に釣りを始めた方の多くは本格的にルアーフィッシングを始めるきっかけになったのは"バス"だ、 という方が少なくないんじゃないでしょうか?

また最近では、釣りをやっているお友達や先輩に誘われて"ロックフィッシュ"や"アオリイカ"からスタートなさったり、取りあえず魚が絶対いるところなら間違いなく釣れるはずだから、ということで 管理釣り場の"トラウト"から、という方もいらっしゃると思います。魚釣りという趣味に出会えたことは、もちろん大変良いことなのですが…。

ずいぶん前置きが長くなりましたが、ここからが今回のコラムのタイトル「その魚をそこで釣ってあなたは幸せですか?」の本題となります。

いきなり核心を突くようですが、あなたはメインとしているターゲット以外の魚を目的に、釣りに行った御経験ってもしかしたら無いんじゃないですか???

…とお尋ねするのには訳があります。
私事で大変恐縮ですが、ルアーフィッシングを仕事をしていると様々なアングラーの方とお知り合いになることが多いのですが、一つの釣種しか経験がないのにも関わらず他釣種のことを全否定なさる方が少ないのが現状です。

そういう方を見るたび、もったいないなぁ…残念だなぁ…と思わずにはいられません。

ここで間違えていただきたくないのは、私は否定すること自体がダメだと言っている訳ではないという事です。

否定している釣り自体に豊富な経験があって、その釣りが普段ご本人がメインでやっておられる釣りと比べてココが面白くない、という事であれば良いのですが全く経験もないのに否定するのは何かおかしい。 (釣りに豊富な経験をお持ちのアングラーの方は、他の釣種を否定するような事はあまりなさりませんが…)

もしかしたら、その全否定なさる釣りの中に今まで自分が気づいていなかった面白さがあるかもしれません。
もしかしたら、メインとしている釣りを凌駕する結果を出せるセンスを有している事に気付けるかもしれません。

無経験の釣りを全否定するという事は、新しい発見と楽しさを知るきっかけを、自ら潰しているという事にほかなりません。
そこまでの事をして得たいもの、守りたいもの、顕示したいものは何なのでしょうか!?

「本当にもったいない!!」と叫びだしてしまいそうです。


当店ヘッドクォーターはバス関連用品の比率が高いこともあり、バスの御客様が一番多いのでバスアングラーを具体的な例としてみたいと思います…。

もちろん全てのバスアングラーがそうという訳ではありません。が、私は以前より、他魚種の方に比べてバスアングラーほど情報や流行に流されやすく、それでいて内弁慶な釣り人はいないんじゃないか?と感じております。
極端に解りやすく言ってしまうと、新しい釣種という新世界に身を投じることに対し、異常なまでに拒否反応を示す方が多いように感じるのです。

とにかく他魚種の釣りは全否定。更に自分のスタイル(サイズはともかくとして、過去に一度でも釣ることができたリグ)以外のバスフィッシングを全否定。ついでに自分のホームグラウンド以外を全否定。自分の知らない事は、とにかくなんでもかんでも全否定。 それでいながら、実はそれ以外の釣りの経験が皆無もしくは非常に乏しい…そんな方が少なくないというのが現実です。

キッパリと言いますが、経験もしない内から、他の釣りやフィールドを全否定するようなことをして欲しくありません。
それなりの経験をしてから、こういう理由でやっぱりこの釣りは自分には…と言ったり、このフィールドは自分には合わないかな…?言う方が、たとえ否定の言葉であったとしても 一本筋の通った、説得力のある否定と言えるのではないでしょうか?

そんな方々を見ていると、「そこまでしてあなたが守りたいものって一体何ですか?」と思わずにはいられません。


それと同時に、釣りに仕事として携わる側に対しても思うことがあります。

他の釣りにはない、バスフィッシングのみが有する魅力や楽しさを言葉で表す際、著名なプロアングラ―はよくこう言うと思います。
「シーズナルパターンに沿ってエリアをチョイスし、ベストなルアーをチョイスしてバスに口を使わせる点が楽しい。」
バスフィッシングは多様なメディアを駆使して情報を発信する釣りの急先鋒ですから、バスフィッシングに関わる方は見飽きた・聞き飽きた言葉なのではないでしょうか? 言葉を発する人によって微妙にニュアンスは変わっても、概ね上記のような内容のことを必ず一度は口にしているのは間違いありません。

確かにそれは正論だと私は思います。
場所やルアーの選択、それらに適したタックルの選択とバランス。そしてそれを使いこなすだけのテクニック。そのいずれかが欠けてもバスを手に出来る確率はガクンと落ちます。

それは揺るぎない事実です。
ですが、バスフィッシングの魅力を広く伝えていくべき立場にある方々が発する言葉が「シーズナルパターンに沿ってエリアをチョイスし、ベストなルアーをチョイスしてバスに口を使わせる点が楽しい。」 だけってどうなんでしょう?この言葉で「そうだよね!まさしくその通り!」と、心から賛同してくれるバスアングラーは果たしてどのぐらいいるのでしょうか?

プロアングラーがパターンやテクニックを語っても、それらを実践できない一般アングラーはタフ化が急速に進む日本のフィールドで魚を手にすることは極めて困難です。
魚が釣れない日々が続けばそのうち心が折れ、最終的にはバス釣りを辞めてしまいます。バスアングラーの人口が減ってプロアングラー自身の開発したものが今より売れなくなると、一番困るのはバスフィッシングの魅力を 発信していたはずのプロアングラー本人なのでは?と、お節介なことを思ってしまうのです。

年間にご本人が満足のいくサイズも数も釣っていて、なおかつそれに応えうることのできる器を持ったフィールドに、足繁く通える方には賛同を得られると思いますし当てはまるかもしれません。
しかし満足に魚を釣っているどころか、仕事や家庭、金銭的事情など色々なしがらみのために思うように釣りに行けない方々(残念ながら、バスアングラーの大半がこの状況に置かれていると思われます…) にとっては、どうにかこうにかこぎつけた、次はいつになるかも分からない釣行に対して求めるものは極めて単純なものなのではないか?

ここで敢えて、私の主観で恐縮ではありますが「バスフィッシングの魅力」の一端を少し文章化してみたいと思います。

皆さんご存知の通り、バスという魚は他魚種以上に食欲以外の理由(好奇心や攻撃性)で口を使う魚です。
その性質を巧みに刺激するように作られた結果、バス用のルアーは自然のエサとはかけ離れた様々な形状のものが存在します(もちろん自然の生物を真似たリアルな形状や塗装のルアーも存在しますが)。
それらルアーの性能や使いどころを理解し、バスの「口を使う理由」を巧みに刺激することに長けた方はバスに口を使わせることが上手い方です。

また季節ごとでのバスの行動パターンを理解し、フィールドの特徴や天候など様々なファクターからバスの居場所やレンジを絞り込むという、バスの生態に基づいて釣りを展開できる方は、釣れる場所をピンスポットで見つけ出すのが 上手い方と言えるでしょう。最近では超高性能魚探やGPSなどの、ハイテク機器を駆使してバスの居場所を探す方法も登場してきました。

極端な言い方かもしれませんが、バスという魚はバスのことを知れば知るほどサイズも数も釣れる可能性が高くなる魚であり、時にはアングラー側が自然状況をも凌駕し、釣果へと結び付けてしまう可能性がある魚なのです。

他の釣魚種に比べ、場所・道具・ルアー・釣り方…そのすべての決定権が人間側にあり、無理矢理にでも魚に口を使わせて「釣ってしまう」ことが成立するという、究極に攻撃的で嗜虐的でサディスティックな釣りであるバスフィッシングが私は大好きです。
11歳の時に始めたこの釣りに一度も飽きることなく30年以上続けてこられたのも、バスという魚の持つやや特殊な生態のおかげだと思っております。

「バスフィッシングの魅力」をこうして文章にしてしまうのはとても簡単です。
それでいながら、難しそうな専門用語や横文字が列記されているとプロアングラーでもない私の文章であっても「他の魚釣りとは別格の特殊でカッコイイ釣り」のようになぜか感じてしまうと思います。
それを影響力を持った著名なプロアングラ―が発信したとしたらどうなるでしょう?
ファンが見聞きしたら、「この人が言うんだから絶対間違いない!そうでなきゃいけないんだ!」となることは容易に想像ができますし、実際にそうなっておられる方を数多く見てきました。
「バスフィッシングってこうじゃなきゃいけない」という固定観念にがんじがらめの一般アングラーがあまりにも多すぎると感じる今日この頃…。

もっと肩の力を抜いて釣りを楽しんでみたらいいのに…。
本音をさらけ出して正直に結果を求めればいいのに…。

あなたの目指す釣りは、一体どこに向かっているんですか???


固定観念の影響は自身のみならず、他者にまで及ぶケースも見受けられます。

キャリアを積んで以前よりも魚を釣ることができるようになったアングラーが、バスプロよろしくパターンや最新タックルのスペック、業界の動向(話す人はあたかも自分の言葉のようにしていますが、ほとんどはネットで収集したものをそのままコピーしています…) を雄弁に語りビギナーを見下した態度をとったり、自分の優位性を誇示するような発言をする。
それらを受けた側は、自分が馬鹿にされているんじゃないか?と妙に勘ぐり、自己防衛のために(本当はそんな必要はないにも関わらず)変な虚勢を張ってしまい、共通の趣味を有し互いを分かり合えるはずのアングラー同士の 関係が、非常にギスギスドロドロした醜悪なものに変容…というこの上ない悲劇を目の当たりにすることがあります。

他人を言い負かすことで勝ったつもりですか?
バス釣りは自己顕示欲を満たすための手段ですか?
明確な根拠のない情報を鵜呑みにして、恥も外聞もなく語って恥ずかしくないですか?
人と知恵比べする前に、一番大事な魚との知恵比べを忘れていませんか?

…推測ですが、固定観念が強い方の多くは正直なところ「単純な目的」のために、極めてユル~い気持ちでスタートしているのではないでしょうか。

数少ない貴重な休みに釣りに行くんだから、手段を問わずとにかく魚に触りたい。
何となく見た目がカッコいいからやってみよう。
正直魚は何でもいいから、単純に大きい魚が釣ってみたい。
何より数が最優先、とにかくい~っぱい釣りたい。
パターン云々は正直どーでもいいから、ようやく買った一番新しい道具やこのお気に入りのルアーで釣りたい。
テクニックどうこうなんて面倒くさい。単純に魚の口に鈎が掛かって、魚の引きが味わえればそれでいい。
安近短最優先でチョロっと行って、少ない道具でサクッと釣れればそれ以上は求めていない。
その先は自分でやるから、とにかく楽して釣れる場所が知りたいだけ。

…という目的がありながら、それを言葉にすることはない方が増えているような気がしてなりません。

本音はもっと違う部分にあるはずなのに、それを言うことは何だか恥ずかしい…と思ってしまうような風潮は釣種を問わず以前からありました。
フィールドの荒廃が進む昨今のバスフィッシング事情がそうさせてしまうのか、その事情を逆手にとって「一匹の価値」がどうだの「この釣り方でビッグフィッシュを獲ることこそがストロングパターンだ」だの、 先述のようなユル系アングラーにとっては、まったくもってどうでもいいことを並べたてることで、本音を正直に言うということが格好悪いことかのような雰囲気がバスフィッシング界に蔓延してしまっています。
そのため、うっかり本音を言い出そうものなら馬鹿にされるんじゃないかと、要らぬ勘違いをしてしまう人も同時に増やしてしまっていると考えます。

釣種を問わず、誰だって釣りをやってる以上は今より数もサイズも釣りたいし、今より上手くなりたいはずです。
単純かつ純粋なその思いが、本人も気づかぬところでズレだしてしまい、要らぬ勘違いや悲しい事態を生み出しているような気がするのです。

…と、話がコラムのタイトルからは若干逸れてしまいました。

これはあくまで私の個人的な見解です。
これまでに述べた事例に思い当たる節があり、他魚種の釣りのご経験がなく、更に自分の本音通りに釣りを展開できてない方が、果たしてこの先一つの世界しか知らず、 本命の釣りさえも釣り方やフィールドを限定し続けていくことに、幸せを感じるかどうかは甚だ疑問です。

自分の本音を押し殺してまで、その釣りや釣り場にしがみついていても、発散するはずのストレスが逆に溜まる一方だという発想には結びつかないのでしょうか?

もしかしたら、今熱を上げている(と思っている)この釣りや通っているフィールドに、自分は向いてないのかもしれない。本当はもっと楽な気分で、はるかに多くの充足感を得ることのできる楽しい釣りがあるかもしれない、 という発想は決して逃げではなく、いい意味で見切りをつけたことによって得られた、極めて大きな前進であるというポジティブな考え方になぜならないのか?と不思議でなりません。

もっと本音をオープンにしていいと思います。あなたの釣りをしたい理由の本音の一番根っこの部分を満たしてくれる魚・フィールドは他にも存在します。私はそう言いたい。

あなたが本格的に釣りを始めたきっかけが、たまたまその魚で現在のホームレイクがたまたまそこだったというだけ。タックルもそれ用のものしか持ち合わせていなかっただけ。
少しだけ勇気を出して他の釣りに目を向ければ、あなたにとってもっと幸せな釣りがあるかもしれませんよ?「楽しむ」ために釣りを始め、続けているのだから楽しいことの選択肢は多いに限ると思えませんか!?


もちろん、新たな釣りを始めるにあたり様々な不安があると思います。

フィールド・移動コスト・タックル・ルアーチョイス・テクニック等…それらの知らないこと、お金が限られていること、そしてそれらを正直に話すこと…それは決して恥ずかしいことでも何でもありませんよ?知らないことは知らないのですから。
あなたの発言によって、あなた自身が妙なカテゴライズやランク付けをされることもありません。何事もそう捉えてしまう、孤独でさもしい人とは関わらなければいいだけです。

自分の殻に閉じこもっていても何も解決しませんし、誰も手を貸してくれないと思いませんか?

自分のメインの釣りやフィールド以外を全否定する人に、他人がその人の本音を見透かしてわざわざアドバイスしてくれるなんて都合のよい話はあるわけがないです。
都合のいい話は二次元の恋愛ゲームにしか存在しません。趣味に関することに限らず、これまでの人生であなたの望むものが降ってきたことなどなかったでしょう?

ほぼ製品カタログと言っていい雑誌を読む(見る?)からいいんですか? 
自分にとって都合のいい情報だけを「真実」として選べるパソコン・スマホで覚える(複写する?)からいいんですか?
人との関わり合いなんて面倒だからお断りでいいんですか?

…いい加減、本当に大切なものから眼を背けるのは止めにしませんか?


もしここまでの内容のどこかで、心がチクリとされた方へ―

あなたが自分に素直になり、新たな釣りをしたいけど、こういった不安があるという想いを素直に吐き出してしまえば、もしかしたら割と近くに手を差し伸べてくれる人はいるかもしれません。

どのメディアにも出ていないフィールドについての情報を、しょうがないなぁ~なんて言いながらも嬉しそうに教えてくれる人がいるかもしれません。
タックルにしても量販店の中古品より安く譲ってくれたり、物によっては貸してくれる人がいるかもしれません。
それなら今度、割り勘で一緒に行ってみる?なんて言ってくれる人がいるかもしれません。

あなたが必死になって格好つけて死守しようとしているものなんて、他人は大して気にしていないんですよ。

今一度よく考えてみて下さい。すべては、あなたが素直になることから始まるのです。
思い切って自分自身をオープンにして、趣味の世界の広がりと更なる充足を実現したいですか?
ひたすら自分の世界を守り通すために、精査されずただ垂れ流されるだけの「真実」がはびこるメディアに一生すがり続けますか?


非常に長文となりましたが、最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。今回のコラムが、あなたの行動を変えるもしくは、起こすきっかけとなれば幸いです。またこのページでお会いしましょう。


危険を冒して前へ進もうとしない人、
未知の世界を旅しようとしない人には、
人生は、ごくわずかな景色しか見せてくれないんだよ。

―アメリカ黒人映画俳優の先駆者的存在のひとり シドニー・ポワチエの名言より引用


第3回 -記 2013/03/23

『あなたの釣り歴は何年ですか?』

…と問われて、あなたはどのようにお答えになりますか?

この質問に対する答えは、もちろん人それぞれです。

始めてまだ間もない方もいれば、10年以上のキャリアをお持ちの「ベテランアングラー」の方もいらっしゃることでしょう。

…ところで、「ベテランアングラー」とは、釣り歴だけで判断できるものなのでしょうか?

このコラムを書かせて頂いている時点で間もなくヘッドクォーターは開店より一年となりますが、日を追うごとにこの疑問は高まっていきました。

なぜかと申しますと…。

ある方の釣り歴10年は休日に何の問題(問題とは、釣行に使える資金や時間の都合、ご家族の同意が得やすいか、など)もなく釣りに行くことができる、とても恵まれたストレスフリーな環境下での10年。

またある方の釣り歴10年は、月に一回の釣行が行けるかどうか…。最大でも年間釣行12日という厳しい制約下での10年。

もっと極端な例えですと、ベストシーズン中の更に最もイージーに釣れるタイミング(アングラーの方なら察していただけるかと)以外は釣りに行かない、という釣り歴10年…。

その人ごとに取り巻く環境は様々ですから、差異が生じるのは無理からぬこと。「趣味」として釣りに関わる人なら、釣りに関わる度合いは当人次第です。

ですが、私は先述の疑問に対して思います。

ベテランと呼べる基準は、「年数ではなく、釣りに関わった内容の濃さでは?」と。

私は、1971年生まれの42歳。私が最も長く関わってきた、バスフィッシングで例えさせていただきますと、11歳から始めたので31年目に突入しました。

しかし、私よりバスフィッシング歴が短い方であっても、技術面において、はるかに凌駕するアングラーは星の数ほど存在します。

これもまた極端な例ではありますが、日本バストーナメントの最高峰、JBトップ50メンバーの上位5名の方々を見てみますと…。

ゼッケンナンバー1 小森嗣彦プロ 1974年生まれ…私の3歳下
ゼッケンナンバー2 福島健プロ  1978年生まれ…私の7歳下
ゼッケンナンバー3 野村俊介プロ 1978年生まれ…私の7歳下
ゼッケンナンバー4 馬淵利治プロ 1986年生まれ…私の15歳下
ゼッケンナンバー5 今江克隆プロ 1964年生まれ…私の7歳上
(2013年3月23日時点)

ゼッケンナンバー5の今江克隆プロを除いて全て私より歳下でしたが、バスフィッシングの関するテクニックはもはや較べるまでもありません(といいますか、較べたら失礼ですね)。
しかも、国内最高峰トーナメントの中でのトップ5!

スピニングタックルを用いた神業的フィッシングスタイルを駆使する馬淵プロに至っては、今年で満27歳という若さ。
その卓越した技術には思わず魅了されてしまうほどです(大阪フィッシングショーではお話させて頂き、ありがとうございました!)。

…27歳、ということは私がバスフィッシングを始めた時には、まだこの世に存在していなかったということですね。

もちろんトップトーナメンターに限らず、全国には凄腕のロコアングラーが大勢います。その方々の技術も、年数だけで培われたものではないでしょう。
彼らが人並み外れたテクニックを得るためには、元々のセンスだけではなく、一般アングラーの想像をはるかに超越した研鑽を数多く積み重ねてきたことは言うまでもないと思います。

その釣りへの努力と練習のためには、日々の生活でも様々な努力や工夫を数多く凝らし、「問題」をどうにかクリアして、釣りに行くことができる環境を整え、継続してきたことに最も注目しなくてはならない、と強く思います。
そして、毎回の釣行を大切にし、「あー、釣れてよかった。楽しかった。」では終わらせず、魚以外にも数多くのものを得て、確実に自分の糧にすることを重んじてきたであろうことも、看過できません。

「アイツらはいいよねー、好きなこと(今回の場合は釣り)ばっかりやってりゃあ、メシが喰えるんだからさー。」

一般の人たちから見て、「趣味」と呼ばれるもののスペシャリストの方々に対して、平気でこのような辛辣な言葉を浴びせる方を見て、とっても残念に思うのは私だけでしょうか?
(今回、このコラムのアップ作業をお手伝いさせて頂いているweb担当の私も、他の趣味で同じような経験があります。)

スペシャリスト、プロ、ベテラン…言い方は様々ですが、そう呼ばれる方たちも始めた初日からスポンサーがついて、潤沢な物資提供を得られたわけではありません。
数々の厳しい制約の中、どうにか都合したものからなんとかスタート、という始まりだったと思うのです。

自分が本当にしたいこと、もっと上達したいと思うこと、理想の結果を得たいと思うこと…それらと関わるために必要とされる対価を能動的に生み出そうとする行為の度合いこそが、その人の「本気」や「情熱」を示しているはず。

見つめ直して頂きたいのです。

釣りに行くための環境作りを怠ってはいませんか?
レベルアップできる機会をみすみす逃してはいませんか?
釣りができない、行けない理由を前に、初めから諦めてはいませんか?

このコラムを書いた時期は、いよいよ春本番!というタイミング。本格的なゲームフィッシングシーズンに入ったと言えるでしょう。
あなたの釣り歴に新たな1年がカウントされます。
今年一年が、皆さんの釣り歴の中で最も充実した1年となりますよう、ヘッドクォーターは全力でお手伝いさせて頂きます。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。また、このページでお会いいたしましょう。



第2回 -記 2012/10/13

『お金を落とすべき場所』

久々の更新となります今回のコラムは、読む方によってはちょっと耳が痛くなるお話ですが、あえて…。

幾分古い話ですので既に忘れてしまっている方や全くご存知ない方、はたまた「臭いものには蓋をしろ」で、知らぬ存ぜぬというスタンスの方、などなど…これからお伝えする「法律」についての考え方は人によって様々かと思います。

その「法律」とは我々アングラーにとっては、最も厄介なことこの上ない法律―

「特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律」―通称「特定外来生物被害防止法」

平成16年に成立してしまったこの法律のおかげで我々アングラーの愛すべき対象魚ブラックバスは、”侵略性”というバスのことを全く知らない人達にも通じやすい、いかにもダーティなレッテルを貼られ駆除対象となってしまいました。

成立の勢いに乗って、以前からあった「キャッチ&リリース禁止」を掲げる場所の増加や、バスがいる水域の水抜き実施の推進などの駆除活動が全国で非常に活発化しました。

先述したような駆除活動は、かねてよりマナーの悪い一部のアングラー(そういった素行の人たちをアングラーと呼んでいいかは疑問ですが…)へ対する、地元住民の方々からの「戒め」のような形で行われてきていましたが、 「特定外来生物被害防止法」という立派な「大義名分」を得ることで殊更加速したように感じます。

そして、ふと周りを見渡すと…

「バス=在来種の存在を脅かす悪い魚」

「バスアングラー=その悪い魚を釣って楽しむ、悪い連中」

…という図式がすっかり出来上がってしまいました。

ずっと以前から漁業一本で生活をたててきている方たちがおられるような、規模の大きい湖などは別として、元々定期的な水抜きが行われてきた農業用溜池において、「在来種を守る!」というのは行為と発言が一致していないのでは…? 水を抜けば、在来種も絶滅しかねませんので…。

要するに「悪い魚を釣りに来る鬱陶しい連中」を呼び寄せる魚―バスを根絶したいのが本音なのではないでしょうか。

他の釣種と比較して、アングラーの平均年齢が比較的若いバスフィッシングは、人間的に成熟されていない方も正直少なくないのが実情です。

そのためか、釣行時にする自分の行為が及ぼす影響(特に釣り場付近の住民の方々に対して)について、考えが及んでいないことが多々あるのは事実。

当人からしてみれば、

「自分一人くらい、まぁいいだろう」

「たまの休みに釣りに来て楽しんでいるだけなのに、なにが悪い!?」

「あぁ~メンドーくさいなぁ、もう!!」

…などなどの気持ちから、ついやってしまったゴミ・吸殻のポイ捨て。

極狭の農道や私道に車を迷惑駐車。

立入禁止看板を見て見ぬフリして、フェンスを乗り越え不法侵入。

…。

モラルのない行為の枚挙に暇がないのが悲しいですが、程度の度合いを問わずバスに関わる人たちは、こういった行為が釣り場をなくし「バス釣りする人間は、ブラックバスという悪い魚を釣る悪人」というイメージを不動のものにしている 一番の原因であることに、いい加減気づくべきですし、問題を直視すべき段階にとっくにきていると認めるべきではないでしょうか。

ルールやモラルは遵守しているものの、バスアングラー=悪人の図式でひっくるめられているおかげで、歓迎されていない空気感アリアリの中でのバスフィッシング…。

悪いことはしていないにも関わらず、なぜか負い目を感じてコソコソ行うオカッパリ…。

…。

本当にこんなことでいいのか?

人に堂々と言えない、釣りをし続けるのか?

バスフィッシングというのは、もっと明るくて楽しいもののはずではなかったのか?

真面目な性格の持ち主で、バス業界の将来について真剣に考えるあなたなら、いちどは陥るジレンマではないかと…。

私はこのようなお客様に対し、次のようなご提案をさせていただいております。

「それなら、バスフィッシングウェルカムの釣り場へ行けばいい。その場所が遠くて釣行費がかさむのであるなら、普段行く釣り場への釣行を何回か我慢して、費用が工面できたら一度勇気を出して行ってみてください。
周辺住民のバスアングラーに対する歓迎ぶりに、きっと圧倒されることでしょう。まずは一度行ってみて、普段自分が行っている釣り場との違いを実際に見て、感じてみるのが先決です。
どうせお金を落とすなら、バスフィッシングを歓迎してくれて、自分も堂々とバスフィッシングできる所にお金を落とす方が、よっぽどいいじゃないですか!」と。

ここで一番重要となってくる点は、バスアングラーを歓迎してくれている地元にお金を落とす、ということです。

私が愛してやまない長野県信濃町の野尻湖をはじめ、バスアングラーを友好的に捉えている地域では、バスアングラーが落としていくお金に恩恵を受けている人達がたくさんいるという点は、絶対に見逃すことができない事実であり、 だからこそ、”よそ者”の我々を大切なお客様として受け入れてくださっているという点を、絶対に忘れてはいけません。

ここで勘違いしないでいただきたいのは、無理をしてまでお金を大量に落とさないといけない、と言っている訳ではないということです。

人によって、釣りにかけられるコストはそれぞれです。
毎週バスボートに乗れる方もいれば、オカッパリがやっと、という方もおられるでしょう。
でも覚えておいていただきたいのは、釣り場で購入したジュース一本、ガム一個がその釣り場の地域の方々の生活に直結している、ということです。

釣りをする時間がどんなに短い時間でも、入漁料を支払う義務がある釣り場で入漁料を購入するのは、今更言うまでもなく極々当然のことです。

入漁料は漁協の収入となり釣り場の環境保全となるのですが、それ以外のお金(食べ物・嗜好品の購入費・ガソリン代)は、漁協関係者以外の収入なることがほとんどでしょう。
実はこのお金こそが、地元の方々にバスアングラーを受け入れていただくのに最短の方法であると、真剣に考えてみてはいかがでしょうか?

重要なのは「バスフィッシングはお金になるということを理解してもらう」ということです。

釣りに直接関わっている方のみならず、釣り場周辺の地位の方みんながオイシイ思いができるような図式が出来上がれば、我々アングラーは「お金になるいい人」、
そしてバスフィッシングという行為は、経済効果を産み出す大切な「観光資源」に変貌するのではないでしょうか?

バスフィッシングの産み出す経済効果に一日でも早く気づき、世間の風潮とは真逆にバスアングラーを受け入れるという道を選ぶ地域が今後増えるかどうかは、我々バスアングラー次第なのかもしれません。
そしてそれは正直なところ、現状ではかなり厳しいと言わざると得ません

では、我々アングラーはどうすればいいのでしょう?

現時点でバスフィッシングを重要な観光資源として捉えており、アングラーを受け入れてくださっている釣り場・地域の活動に対して応えていくためには、そういった釣り場に年に一度でも足を運び、少しでも現地でお金を使うということが 一番なのではないでしょうか?

本当の意味でバスフィッシングウェルカムな場所にお金を落とす⇒バスアングラーが有益な人間として認識される⇒さらにバスアングラーを受け入れる努力をしていただける⇒より多くのバスアングラーが釣り場にやってくる⇒…
こういった循環が出来上がることが、釣り場とアングラー双方にとって、最良の環境と言えるのではないでしょうか?

現在、こういった環境作りのために努力しておられる地域はまだまだ限られています。

それら数少ないバスアングラーの「聖域」を守りながら他の地域へもアピールし、「聖域」を増やす希望をつなぐためにも、ぜひ一度「聖域」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

今回は今まで”そうじゃなかった”方にはちょっと耳が痛くなるお話でした。
長文となりましたが、最後までお読みくださり誠にありがとうございました。また次回このページでお会いしましょう。


第1回 -記 2012/04/07

『男のロマンは女のフマン?』

こんなお話、お耳にしたことはありませんか?

<パターン1>
彼女の理解を得るべく釣りの雑誌やDVDを観せ、デートのたびに釣具店へ。苦労の甲斐あって

「わぁ~釣りって楽しそう♪」

とようやく言ってもらえて、週末に念願のデートフィッシング………。

ところが!

「ってゆーか、釣れないし!」
「マジで~?トイレないじゃん!!」
「ぶっちゃけ、おもしろくなーい!!!」

の3ヒットコンボ。それ以来、一緒に釣りに行ってくれなくなった…。

それで済めばまだしも、釣り自体を完全に敵対視するまでになり「今度、釣りに行くんだけど…」と言った瞬間、たちまち不機嫌に。
遂には、

「私と釣りの、どっちを取るの?」

…と最悪の結末。その後、魚は釣ったものの彼女をバラしてしまう結果に…。

<パターン2>
「今度の休み、釣りに行かない?」と尋ねると、

「うんっ♪」

と喜んで一緒に釣りについてきてくれる彼女。彼女は自分の趣味を全面的に理解してくれる最高の女性だっ!自分にはこのヒトしかいないっ!!

「もう、彼女と結婚するしかっ!」と決心。―そして、めでたくご結婚。

ところが!

結婚した瞬間、”今までのは何だったのか…?”と疑ってしまうほど、釣りに対して無関心。
どんなに釣りに誘ってみても、一緒に行くことなんてきれいサッパリ皆無。そして子供が産まれると共に、次のフェーズへ移行。
そう、<パターン1>同様、”釣り=敵”となるワケです。
「釣りに行く」なんて言おうものなら、夫婦間に亀裂が生じるほどの大ゲンカ…。

…といったようなお話です。

家族の方からみれば、朝早くから家を空けて夜中に帰宅。お金は恐ろしくかかる一方なのに、釣った魚は持ち帰らず。それでいながら、当人はやたら満 足気なのが、さらに家族の怒りをかき立ててしまう。しかも、当人には悪気がないのが、余計に罪深い…。

アングラー側にも苦悩の種は尽きないと思います。
食することができる魚を釣りに行き、釣った魚が小さければ本当はリリースしたいのが本心でも、ふと家族の顔が頭をよぎり、
「とりあえず、キープしとくか…タックルにかけた金額、たぶんバレてるし…さ」
と、釣り具・釣行への投資額に対する後ろめたさや家庭の食費などを天秤にかけ、「食費への還元」をしぶしぶ選択…。

もともと「趣味」と呼ばれるものの多くは、お金がかかるものであり、かけてしまうものです。
釣りはその中でも上位にランクインするであろう、というのが正直な感想です。

釣りにこだわるほどに、商品のグレードが上がるロッドにリール。
いろいろ試したくて、ついつい買ってしまうルアー。
どうせ使うならカッコいいものをと、これまたこだわるフィッシングギア。
妥協はできない、とハイエンドクラスのラインで、一巻きン千円×タックル数。
クォリティフィッシュを求めて、メジャーフィールドへの遠征。高速代と、いまや高級品扱いのガソリンを大量消費。
念願のボートを手にし、あわせて車も買い替え。そして、それらがもたらす多額のランニングコスト。

釣りへかかわる度合をうまくセルフコントロールできれば問題はないのでしょうが、好きなことにはガマンをしたくないのがアングラーの本心ではないでしょうか。

運よく彼女が釣りガールであるとか、釣りに対して全面的に理解のある奥さんなら問題ないのですがそんなラッキーな方は極々わずか。
もしくは彼女や奥さんに、文句を言わせないくらい稼ぎが多くて、思う存分ゼイタクさせてあげられればいいのだけれど、いまさらそれも難しい…。
さらに不況が追い打ちをかけ、小遣いは世の景気同様、右肩下がり…。

とどのつまり、ルアーフィッシングは女性から見れば家庭生活において、何の生産性もない、

「彼氏・旦那にしてほしくない趣味の極み」

「彼氏・旦那への不満の根源」

という位置づけなのか?

…。

それでも…!

やっぱりバスが!ライギョが!ソルトが!トラウトが!ルアーフィッシングが好きだ!!

数々の逆境にも負けず、声を大にしてそう叫ぶロマンを忘れない方たちの癒しのスペース、そして応援団になりたい。
そんな想いから、今までにないタイプのお店―アングラーの秘密基地「ヘッドクォーター」を創りました。

日常のさまざまなしがらみを忘れて、の~んびり遊びに来てみませんか?あなたの釣り部屋として、当店を存分にご活用ください!

みなさまのご来店を心よりお待ちいたしております!!


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